代表者:依頼当時40歳代
業 種:精密機器保守点検
負債額:法人約1500万円
代表者個人 負債なし(ただし、会社の保証として約100万円)
J社は、精密機器の保守点検を主たる業務として、平成20年に設立された会社です。
J社の代表者Aさんの友人の会社であるB社が製造販売している精密機器の保守点検をおこなうことが、J社の主な業務でした。
そのためJ社の売上げの8割以上が、B社製品の保守点検によるものでした。また、J社の株の50%はB社が持っていて、J社はB社のグループ会社的な意味合いが強かったです。さらに、B社はJ社に対し、保守点検業務に関する様々なサポートも行っていました。
しかし、J社はB社からの請け負う保守点検業務のみでは経営が苦しかったので、営業努力をして、同じような精密機器の保守点検を自社で直接取引できる新規顧客の開拓もおこなっていました。
それでも設立1年目の決算は、300万円ほどの赤字となってしまいました。
2年目は順調に経営できていましが、3年目になる平成22年ころより、J社とB社の関係が悪化してしまいました。
そして、関係悪化と同時に、代表者のAさん個人が、B社からB社が保有するJ社株式の買い取りを迫られるようになってしまったのです。
そこでJ社は、B社から保守・点検業務が打ち切られることを想定し、当面の事業資金として、銀行から合計1000万円の融資を受けました。
この融資を受けた直後、J社代表者Aさんは自社の株式をB社から買い取り、またJ社とB社のグループ会社的な関係も解消しました。
その後J社は、借り入れた事業資金をもとに、新規顧客の開拓を行ったが、なかなか顧客を増やすことはできませんでした。
その一方で、売上げの8割を占めていたB社の業務がなくなりJ社は大赤字。
銀行借入れの返済にも困るようになってしまいました。
そのため、次第にAさんは「J社の存続は難しいのでは…」と考えるようになっていったそうです。
そこでAさんは、レセラに相談して、事業を閉鎖し自己破産の申立てをする決心しました。
なお、会社が倒産する場面では、従業員たちがないがしろにされることが多いのですが、J社の場合は、Aさんが早いタイミングで自己破産の申立てを決意したので、従業員たちへの給与や退職金は全額支給することができました。
従業員たちがそのことをとても喜んでくれたため、Aさんは「早めに破産するという決断をしてよかった。」とおっしゃっていました。