有期労働契約の無期労働契約への転換(18条)
2 無期転換後の労働条件
無期労働契約へ転換した後の労働条件は、原則として、契約期間が無期になるという点を除いては、転換前の有期労働契約と同一となります。
ここで注意していただきたいのは、「無期労働契約へ転換した労働者 = 正社員」ではないということです。
正社員、無期労働契約者、有期労働契約者という3階層が生じることになるのです。
ところで、無期労働契約転換後の労働条件については、例外として、「別段の定め」をしておけば、転換前の有期労働契約の労働条件のうち、契約期間の定め(=無期)以外の労働条件を変更することができます。
例えば、有期労働契約では、法定の有給休暇以外に特別の有給休暇を3日だけ与えていたのを、無期労働契約への転換後は5日にするなどと変更することです。
ここでいう「別段の定め」とは、労働協約、就業規則、個々の労働契約(使用者と労働者との間の個別の合意)を指すとされています。
今後、無期労働契約転換者を迎える会社の対策としては、この「別段の定め」をしておくことが肝要です。
そうしないと、有期労働契約で定めていない労働条件について、正社員向けの就業規則の規定が適用されてしまうこともあり得るからです。
また、就業規則で無期労働契約転換後の労働条件を従前より不利益なものにすることについては、慎重な検討が必要です。
労働契約法7条~10条までの就業規則法理に従って、その是非が判断されることになるからです(いわゆる就業規則の不利益変更の問題)。
なお、有期労働契約時と職務内容などが同一であるにもかかわらず、無期労働契約転換後の労働条件を従前よりも低下させることは、無期労働契約への転換を円滑に進める観点から望ましいことではないとされているので、参考にして下さい。
最後に、「別段の定め」をするということは、無期労働契約転換者の処遇をどうするのか決定するということです。
賃金はもちろんのこと、職務や責任の度合い、転勤・昇進等の人事異動の有無や範囲など、正社員との均衡やモチベーションなどに配慮して、作り上げるようにして下さい。
もしも、社内で作ることが難しい場合は、ぜひ当事務所にご相談下さい。